奥利根 ススヶ峰(1953m)、赤倉岳(1959.0m)、日陰山(1752m) 2013年5月6日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:36 1911m峰−−5:22 ススヶ峰−−5:31 荷物をデポ(パッキングし直し) 5:41−−5:58 1761m鞍部−−6:38 赤倉岳−−6:41 1940m肩(アイゼン装着) 6:48−−7:12 日陰山 7:15−−8:04 1940m肩−−8:09 赤倉岳(休憩、アイゼン外す) 8:26−−8:48 1761m鞍部−−9:34 荷物を回収(休憩、ワカン装着) 10:16−−10:29 県境稜線を離れる−−10:55 猫又川左俣−−11:06 二俣−−12:04 山ノ鼻(休憩) 12:36−−13:50 鳩待峠−− 13:54駐車場

場所群馬県利根郡片品村/みなかみ町
年月日2013年5月4〜6日 残雪期幕営
天候晴れ時々曇
山行種類残雪期籔山登山
交通手段マイカー
駐車場鳩待峠駐車場。ただし5月中旬以降はマイカー規制開始でマイカーは麓の戸倉まで
登山道の有無山ノ鼻まであるが、それ以降は無し
籔の有無赤倉岳北方の1940m肩から日陰山間は籔が出た場所あり。でもさほど酷くない
危険個所の有無1940m肩から日陰山間は痩せたスノーリッジ、急斜面のトラバース、急な尾根の登り下りあり
山頂の展望どちらの山頂も大展望
GPSトラックログ
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コメント鳩待峠から入り、2泊3日で1911m峰をベースに矢種山、長水沢山、日陰山を往復した最終日で、1911m峰からススヶ峰に登って日陰山を往復し、鳩待峠に下山。赤倉岳まではトレースあるがその先はカモシカのトレースのみ。やや痩せたリッジや石楠花籔の小ピークを越えて1820〜1790mの灌木籔に覆われた急な尾根を下ったあとは、南に張りだした雪庇崩壊を恐れて北にトラバース気味に登れば巨大雪庇上の山頂。西側に松の木が生えているのが目立つ


沖ノ追落付近から見た赤倉岳と日陰山
ルート図。クリックで拡大


テントを畳んでススヶ峰に向かう 1911m峰てっぺんのテント
1911m峰付近にはもう一つのテントが 気温は0℃で高め
平ヶ岳 ススヶ峰
ススヶ峰への登り 踏み抜きトレースで歩きにくい
大白沢山から登る朝日 広大なススヶ峰山頂部
赤倉岳 ススヶ峰山頂
ススヶ峰から見た東〜南の展望(クリックで拡大)
南下する 至仏山
テントサイト 荷物をデポして日陰山に出発
赤倉岳
鞍部より登り返し まだ登る
1940m峰からの展望(クリックで拡大)
2日前に歩いた稜線
1940m峰の先がちょっとしたナイフリッジ 赤倉岳山頂へ登る
最後の登り 赤倉岳山頂
赤倉岳山頂から見た東半分の展望(クリックで拡大)
北西の1940m肩に向かう 1940m肩から赤倉岳山頂を見る
1940m肩。トレースはここまで。アイゼン装着
1940m肩を僅かに下ったところから見下ろす
大したことはないがナイフリッジっぽい雪稜を歩く
1880m肩の下り。残雪は急斜面なので籔の中を下る 1850m肩。ここも残雪面は急で籔を越える
1850m肩の籔を越えた先 シラビソ樹林の尾根直上かやや北を下る
徐々に傾斜がきつくなってくる 矮小な籔が混じった急な尾根を下る
あの雪稜が日陰山 籔突破
南は切れ落ちているので北を巻き気味に進む 日陰山最後の登り。ここも北を巻き気味に
カモシカの足跡を追う 日陰山山頂
日陰山山頂から見た西から北の展望(クリックで拡大)
下山。日陰山を振り返る
木が生えた列の中を登る 石楠花籔もちょっとある
傾斜が緩まると籔も薄まる 正面に太陽でまぶしい
1850m肩へ登り返す てっぺんが1850m肩の籔
1850m肩の石楠花籔 1850m肩を越える
1880m肩 1880m肩から見た1940m肩
2日前登った矢種山 もうすぐ1940m肩
1940m肩より赤倉岳に向かう 赤倉岳山頂。本日の足跡は自分のものしか無かった
赤倉岳から見た矢種山に続く尾根
ススヶ峰に向かう 踏み抜き地獄で鞍部到着。この登りは地獄だった
死にそうになってデポ地着。ワカンデポしなければよかった 今度こそ下山開始
しばし県境稜線を南下 ここからフタマタ沢右岸尾根に入る
ここも踏み抜き連続だがワカンが効果を発揮 至仏山
明るいブナ林 間もなく左俣
左俣 支流も雪が溶けた場所あり
振り返る
右岸の高巻き開始 ここだけ猫又川が右岸に接する
倒木 この先が山ノ鼻
山ノ鼻。既にテントはゼロだった
橋の雪解けが進んでいた 川上川右岸を進む
夏道が掘り出された場所もある 鳩待峠着
鳩待峠駐車場も空きが多い もう至仏山は登らないかなぁ


 2泊3日の最終日の朝。今日は昨日より気温が高めで早朝で0℃、寒さは全く感じず快適に寝られた。昨日夕方まではほぼ無風だったが夜中から西寄りの風が強まった。1911m峰てっぺんに設営していたテントは風でうるさかったと思うが、ここは静かで快適だった。朝飯を食い終えて2日間お世話になったテントサイトを後にした。時刻は午前4時半、もうライトは不要なほど明るくなっていた。今日も快晴だ。ただ、天気予報では東北北部を寒冷前線が通過する影響で南西の暖かい風が強めに吹き、前線が通過する午後には寒気が入って北日本と北陸は雨の予報。ここは新潟との県境なので天気も新潟に近く、午後から天候の悪化が予想される。できるだけ早めに最後の目的地の日陰山を片づけたい。尾瀬ヶ原以降なら雨に降られても許容範囲。

 まずはススヶ峰への登り。連休最終日で尾根上を歩いている人の姿は皆無。今日歩く人の大半は早々に下山だろう。波打った雪庇の稜線を歩くが、気温が高いせいかトレースの方が踏み抜きが多く、誰も歩いていない表面がきれいな雪面の方が沈まなかった。もちろん、ワカンを装着すればどちらでも踏み抜くことはなくなるだろうが、まだ早朝でつぼ足でも行ける時間帯なので、足の重りは軽いほどいい。

 ススヶ峰山頂に到着、南の台地状の肩に下る途中にテントが無いか見たがもう1つも無い。雪を積んだ風除けの壁だけがいくつか残されていた。赤倉岳に向かうトレースの近くで荷物をデポ、今日は往復の距離は短いし、帰りの登り返しは西側の尾根で朝日が当たらない面なので雪の緩みはまだ無いと判断し、ワカンは置いていくことにした。赤倉岳から日陰山間の危険度が不明なのでアイゼンとピッケルは持っていく。

 トレースに従って緩やかに樹林を下り、鞍部から登り返し。相変わらず明瞭なトレースが続く。一昨日に私が矢種山を往復したときに付けた赤倉岳をトラバースしたトレースも明瞭に残ったままだった。1930m肩で傾斜が緩んで尾根が右に緩やかにカーブ、ここから矢種山への尾根が分岐する。一昨日はここまで登らず途中から巻いたことで標高差100mほどお得だったはずだ。この先でちょっとしたナイフリッジが登場するのは前回赤倉岳に登った時に経験済み、トレースもあるしあまり怖さは感じない。リッジを渡っている最中に左手からガサガサという音と鼻息?が聞こえ、振り向くとカモシカが走り去った。短時間の出来事で写真を撮る暇がなかったのが残念だ。カモシカの鼻息は奥秩父で聞いたことがある。あの時は獣の姿が見えず何の動物か分からなかったが鼻息だけが聞こえた。たぶん威嚇のつもりなのだと思う。もしかしたら熊か?と恐怖したが、あれはカモシカだったのかと今頃になって知った。

 リッジを渡った後は緩やかに高度を上げて赤倉岳山頂へ。西側のみシラビソがあって展望が遮られるがそれ以外は大展望。矢種山が低い位置に見える。前回の記憶がないがここには山頂標識は無かった。トレースは北西の1940m肩へと延びていてここは山頂ではないのか?と地形図を確認したが、やっぱりここが山頂で間違いなかった。ただ、上越国境の山並みを楽しむなら1940m肩の方が断然展望がいい。せっかくここまで来たのなら両方のてっぺんを踏んでおくのがいいだろう。片道1分程度だ。

 もしかしたら1940m肩から日陰山に1人くらいトレースがあるかと期待したが、その先は足跡皆無だった。それが常識か。ここからはまだ尾根に邪魔されて日陰山は見えないようだ。ここで12本爪アイゼン装着、さて、アイゼンの出番があるかな? それは行ってみてのお楽しみ。  最初はシラビソ樹林の緩い下りで、その下部で尾根が右に曲がっていったん水平になり、その突端が1880m肩だ。ここは雪が少なくて僅かに地面が出た場所があり、傾斜がきつい北側斜面は藪が出ていた。東に迂回すれば藪を回避できるが雪の急斜面で滑ったら止まりそうにないので、さほど濃くない藪尾根を下る。その先は痩せたスノーリッジだがまだナイフリッジと呼ぶほどのものではないが、一応それなりに慎重に進む。

 リッジが終わり尾根が左に屈曲するところが1850m肩で、てっぺんは藪が出ている。さっきの肩と同様に右の残雪で藪を迂回可能だが、滑ったらヤバい傾斜なのでここもアイゼンを履いたまま数mの藪漕ぎ。ここは石楠花が強固だ。その先は残雪を伝ってやや急な尾根を北側にトラバース気味に下っていく。12本爪アイゼンでよかったぁ。どこからかカモシカの足跡が合流、本当にカモシカはどこでも出没するなぁ。

 傾斜はあるが痩せ尾根ではないので背の高いシラビソ樹林の中をあまり恐怖を感じずに下っていく。やがてもっと傾斜がきつくなり植生がシラビソ純林からシラビソに石楠花や灌木が混じった藪っぽい尾根に変わる。この傾斜で植物が無かったらかなり怖い思いをしそうだが、これだけ掴まるものがあれば滑落の危険性はほとんど無いので安心して下れる。

 急傾斜の区間は2,30mだろうか、傾斜が緩むと藪っぽさも消えて、最後に雪に半分埋もれた灌木帯を越えると緩やかな雪原に変わる。もう鞍部は目前で、そこまで少し痩せた雪稜はあるが、さほど危険は無い。鞍部から日陰山山頂までは雪庇の張り出しに注意する以外は危険はなさそうだ。カモシカも雪庇崩壊の危険性を知っているのか、北側を巻き気味にトレースを残している。

 こちらもカモシカと同じように北側に迂回しつつ登っていくが、稜線から離れ過ぎると傾斜がきつく滑落のリスクが増すので、両者のリスクのバランスが難しい。雪面を登りきると最高点は雪庇の上で、立ち木は少し西に下ったところに松が1本あるだけの日陰山山頂に到着した。遮るもののない展望だが南東方向は赤倉岳が立ちはだかって大きく視界を塞いでいる。昨日歩いた水長沢山の長い尾根が印象的だ。松の木に人工物が無いか確認したが皆無、ここもすかいさんが登っているので標識があってもおかしくないのだが。せっかくなので赤テープを残す。次にここに人が来るのは来年になってしまうのだろうか。少なくともこの連休中の足跡は見られなかった。カモシカ以外は。

 まだ行動開始から短時間なので休憩無しで帰路に就く。赤倉岳まで一直線に200mの登り返し。真正面に太陽を見ながらの登りで眩しい。鞍部からの急な登りも藪の助けで問題無くクリア、その後も往路のトレースを頼りにグイグイと登っていく。いつもそうだが、なぜか往路でちょっとドキドキするような場所も帰りだと何とも思わないで通過できることが多いが、日陰山も同じだった。トラバースもどうということに思えなくなっていた。

 1940m肩に到着するが無人、赤倉岳を見るがやはり無人。今日は赤倉岳に登ってくる人はもういないのかもしれない。行動開始から3時間半経過しているし腹が減ったので赤倉岳で休憩。日差しが眩しい。やや強かった南西の風はいつの間にか弱まっていた。休憩中も誰も登ってこなかった。本当に今日の尾瀬は人が少ない。

 赤倉岳の下りは朝の陽ざしで雪が腐って踏み抜き連発、下りでもワカンが欲しいくらい疲れ息が乱れる。鞍部からススヶ峰の登り返しは西斜面で朝日を直接浴びないのでまだ雪の状態がいいと予想していたが全く駄目で、ここも踏み抜き連発で猛烈に疲れた。ワカンをデポしたのは最大の失敗だったと後悔しても遅い。重い足を引きずるようにズボズボ踏み抜きながら登り切って大休止。これ以降はずっとワカンを装着したまま行動した。ススヶ峰南側も無人で通過する人も皆無だった。休みながらテントの虫干し。下山後は天気が悪化して雨の可能性もあるので、日差しが強い今の方がいいだろうとの判断だ。

 帰路は往路と同じくフタマタ沢右岸尾根を下ることにする。雪が緩んでトレースに乗っても踏み抜くがつぼ足よりは格段に踏み抜きが浅いし頻度も減ったが、スノーシューが欲しいくらいの雪質だ。例年の残雪状況ならこんな苦労はないのだが。水作りでのみ新雪のありがたさを味わったが、歩く方ではありがたくない状況の方が圧倒的に多かった。雪の上には今朝付けられた新しい足跡は無かった。

 左俣に下って沢沿いのトレースに乗れば、山ノ鼻まで長い水平歩き。高度が下がって残雪量が減ったのか、踏み抜きの程度は軽減され歩きやすくなる。高巻きで登る返すのが疲れるが2か所ほどなので許容範囲だろう。山ノ鼻で大休止。テントは一つもなく、休んでいる人も数人と極端に少なく、従業員も休憩モードだった。一般的には明日から会社が再開するので、今日は丸1日休養日にするかできるだけ早く下山するのが一般的で、この時間にまだ尾瀬にいるのは地元の人か明日もお休みの人かどちらかだろう。私は明日は「自主休業」を宣言しているので、今日はのんびりできる。その前に、鳩待峠への登りに備えてのんびりと休憩。

 山ノ鼻を出発し川上川に沿って歩くが、鳩待峠に向かう人、鳩待峠から降りてくる人の姿も無く非常に静か。午後に入って上空には雲が増えてきたがまだ雨の心配はなさそうだ。一部出ている木道をワカンで歩いて板を傷つけるのは忍びないので、できるだけ雪の上を歩いた。川沿いを離れて登りにかかると山スキーヤー3人パーティーと遭遇、登りだと歩きでもスキーでもスピードはほとんど変わらなかった。いや、私の荷物の量を考えると歩きの方が速いか。

 鳩待峠に到着すると駐車場の入りは半分程度、帰り支度の車も見られた。東の駐車場はもう少し車が多く、まだ7割くらい埋まっていた。こちらも帰り支度の車が数台、私もその仲間に加わる。最後まで雨が落ちてくることはなく、車で園原ダム付近を走行しているときにやっと降ってきた。

 最後にまとめ。今回の3日間で登った県境尾根から群馬側に飛び出した山々は、雪庇崩壊を避けてのトラバース以外はほぼ危険個所無し。主に体力勝負の山だった。時間さえかければ残雪の山に慣れた人なら誰でも登れると思う。ただし、尾根の屈曲やだだっ広い場所があるためガス等で視界が無いと苦しいかも。晴れていれば読図の必要はない程度。今年は連休前や連休中に降雪があり、新雪ラッセルで体力的に苦しかったが、例年だったら固く締まった古い残雪の上を快適に歩けるのでもっと楽で所要時間も短縮できるはずだ。鳩待峠の駐車場のお値段は特に初日が高いので、どうせやるならまとめて登った方がお得である。もう1日追加すれば景鶴山やカッパ山、八海山なども登ることができるだろう。

 

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